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【個人事業主必見】開業費とは?仕訳方法から節税のコツ・具体例まで徹底解説

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個人事業主として開業するときに気になるのが「開業費」です。

 

どこまでを開業費にできるのか、会計処理はどうするのか、節税につながるのか…

 

実は、正しく理解して処理することで税金を減らし、資金繰りを有利に進めることができます。

 

この記事でわかること
  • 開業費の基本と経費との違い
  • 開業費にできる・できない費用の具体例
  • 会計処理と仕訳方法
  • 節税に活かすための実践ポイント
  • よくあるご相談について

 

をわかりやすく解説します。

 

個人事業主の「開業費」のキホン

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開業費とは?事業開始のための「初期投資」

 「開業費」とは、事業の準備期間中に支出された費用をいい、「開業準備費」とも呼ばれます。

 

例えば、

  • 開業準備中に支払ったチラシ代
  • 名刺作成費用
  • 開業セミナーの参加費

 

などが該当します。

 

個人事業主の場合、開業届に記載する開業日までに発生した費用が開業費の対象となり、

 

開業費に計上できる金額に上限は設けられていません。

法人との違いに注意!個人事業主に「創立費」はなし

法人の場合、開業費と似た概念に「創立費」があります。

 

会社設立登記にかかる登録免許税などがそれに当たります。

 

一方で、個人事業主には「創立費」という概念は存在せず、

 

開業準備にかかった支出は、原則すべて「開業費」として扱うことになります。

開業費は「経費」ではなく、「繰延資産」

開業費は、通常の「必要経費」とは異なり、

 

繰延資産として計上したうえで、任意のタイミングで償却できるという特徴があります。

 

つまり、支出した年度にまとめて費用化することも、複数年に分けて費用化することも可能です。

 

利益が多く出た年にまとめて償却すれば節税効果が高まるなど、

 

事業の状況に応じた柔軟なコントロールができる点が大きなメリットです。

 

償却期間経過後における開業費の任意償却|国税庁

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/08.htm

【具体例で解説】個人事業主が開業費にできる費用・できない費用

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開業費にできる費用の具体例

個人事業主の場合、開業準備中に発生した幅広い支出を「開業費」として計上できます。

 

具体的には次のようなものが代表例です。

開業費の具体例
  • 開業前に借りたオフィスや店舗の家賃
  • 名刺・ホームページなどの広告宣伝費
  • 開業に必要なセミナーの受講料
  • 開業準備のための打ち合わせ費用
  • 事業に関連する備品や消耗品の購入費用
    (10万円未満のもの)

開業費にできない費用の具体例

一方で、次のような支出は開業費には含められません。

開業費にできないものの具体例
  • 私的な生活費
    (衣食住や娯楽にかかる費用)
  • 開業とは直接関係のない自己研鑽費用
  • 固定資産に該当する高額備品
    (10万円以上のパソコンや什器など)
  • すでに事業開始後に発生した通常の経費

個人事業主の開業費の会計処理・仕訳方法

開業費の発生時の仕訳方法

例えば、開業前に名刺を1,000円で作成した場合の仕訳は以下のようになります。

 

(開業日:4/1、支出日:3/10)

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
4月1日
開業費
1,000円
元入金
1,000円
名刺作成
ポイント
  • 開業費を仕訳する際の日付は、開業日に統一する必要があります。
  • 開業前は事業用の資金がないため、「元入金」という科目を使用します。

開業費の償却方法:任意償却を活用しよう

開業費は「任意償却」が認められています。

 

つまり、事業の利益状況に応じて好きなタイミングで費用化できるのが大きな特徴です。

 

決算時に開業費を償却する際は、借方「開業費償却」、貸方「開業費」で計上します。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12月31日
開業費償却
1,000円
開業費
1,000円
決算整理

 

ポイント
  • 開業費は一括償却も、数年に分けて償却することも可能
  • 証憑をきちんと残しておくことで、税務調査でも説明しやすくなる
  • 節税の観点からは、利益が出た年にまとめて償却するのが有効

開業費で賢く節税するための3つのポイント

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レシートや領収書は必ず保管!「証拠」が命

開業費として計上する際には、領収書や契約書などをしっかりと保管することが非常に重要です。

 

税務調査の際に、証拠がないと認められない可能性があるためです。

 

領収書を発行できない少額の旅費交通費などは、

自身で出金伝票を作成して保管しておきましょう。

仕訳帳と固定資産台帳に正確に記帳する

開業費は「繰延資産」として、固定資産台帳やExcelなどの管理簿に記載しておく必要があります。

 

税務署から確認を受けた際に、

どの支出を開業費としたのか一目でわかるようにしておきましょう。

利益状況に応じて任意償却を戦略的に活用する

 開業費は「任意償却」が認められているため、

利益が出ている年にまとめて償却して節税効果を高めるのが有効です。

 

逆に、赤字の年にわざわざ償却しても節税効果はありません。(青色申告でも赤字の繰り越しは最大3年まで)

 

黒字の年度に合わせて戦略的に費用化することで、

キャッシュフロー改善や資金繰りの安定化につながります。

個人事業主の開業費に関するよくある質問

よくある相談

開業費の計上期間に制限はありますか?
明確な期限はありませんが、事業開始のために要した支出であることを説明できる期間に限られます。

一般的には「開業届提出前、6か月以内の支出」が目安です。

10万円以上の資格スクール代も開業費になりますか?
事業に直接関連するものであれば、金額にかかわらず開業費として計上可能です。

ただし、業務と無関係な自己啓発や趣味の講座は認められません。

開業費を計上しなかったらどうなりますか?
計上しなくてもペナルティはありません。

ただし、節税のチャンスを逃すことになるため、証憑がある場合は積極的に開業費として処理するのが得策です。

青色申告と白色申告で開業費の扱いは異なりますか?
扱いに違いはありません。

どちらの申告でも開業費を繰延資産として計上し、任意償却が可能です。

繰延資産である「開業費」は、償却資産申告に含める必要はありますか?
含める必要はありません。

開業費はあくまで繰延資産であり、固定資産税の課税対象にはならないため、償却資産申告書に記載する必要はありません。

10万円以上の備品処理は?
10万円以上のパソコンや什器は「開業費」ではなく固定資産に区分され、減価償却で処理します。

30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」により一括償却できる場合もありますが、

処理に迷われたときは、所轄の税務署や税理士に相談することをお勧めします。

開業費の消費税はどうすればいいですか?
原則、税込(消費税区分:対象外)で計上して問題ありません。

インボイス発行事業者など課税事業者を選択する場合は、税抜きで計上してください。

事業開始前に行った設備投資は、仕入税額控除の対象となりますか?|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/sinkijigyousha/faq_k13.pdf

まとめ:開業費を正しく理解し、スムーズな事業運営を

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開業費は、個人事業主が事業を始めるにあたって必ず押さえておきたい会計処理のひとつです。

まとめ
  • 開業費は「繰延資産」として計上でき、任意のタイミングで償却可能
  • 開業準備中の幅広い支出を対象にできるが、固定資産や私的支出は含まれない
  • 証憑を保管し、帳簿に正しく記録することが節税と安心につながる

 

これらを理解して適切に処理することで、節税効果を高め、資金繰りを有利に進めることができます。

 

もし「どこまでが開業費になるのか不安」と感じたら、専門家である税理士に相談するのも有効です。

 

開業費を味方につけて、あなたのビジネスを成功へと導きましょう!

 

石田 航平(税理士/経営心理士)

石田航平税理士事務所/イナステラ総合会計事務所 代表
元国税専門官。Big4税理士法人を経て、現在は、売上改善・創業支援に強みを持つ税務会計の専門家として、数多くのフリーランス・企業の経営支援に従事している。

 

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