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【保存版】源泉徴収の対象報酬一覧|フリーランス・経理担当の実務ポイント

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フリーランスとして活動していると、「この報酬は源泉徴収されるのだろうか?」と迷う場面は少なくありません。

 

また、企業側の経理担当者にとっても、正しく源泉徴収を行わなければ、延滞税や加算税などのペナルティを受けるリスクがあります。

 

この記事では、源泉徴収の対象となる報酬を一覧で整理し、フリーランスや経理担当が押さえるべきポイントを解説します。

 

この記事でわかること
  • 源泉徴収とは何か、報酬に対してどのように行われるのか
  • 源泉徴収の対象となる報酬の一覧と具体例
  • フリーランスや企業経理担当が実務で注意すべきポイント
  • 対象外となるケースや判断に迷ったときの対応方法

 

源泉徴収とは?報酬に対する源泉徴収を簡単に解説

源泉徴収の基本的な仕組み

源泉徴収とは、報酬や給与を支払う際に、所得税をあらかじめ差し引き、支払者が代わりに国へ納付する制度です。

 

たとえば、フリーランスに原稿料やデザイン料を支払う場合、発注側が所得税を天引きして支払い、翌月10日までに税務署へ納める必要があります。

一定の報酬には支払者に納税義務がある

源泉徴収は給与所得や退職所得だけでなく、一定の「報酬・料金」にも課せられます。

 

対象となるのは、たとえば以下のケースです。

  • 弁護士や税理士などの士業への報酬
  • プロスポーツ選手や芸能人などの契約金
  • 原稿料や講演料など

誰が源泉徴収を行う義務を持つのか

源泉徴収を行う立場の人を「源泉徴収義務者」と呼びます。

 

具体的には、次のような場合に源泉徴収の義務が発生します。

  • 会社がフリーランスに報酬を支払う場合
  • 従業員に給与を支払っている個人事業主が、フリーランスに報酬を支払う場合
注意!
給与等(青色専従者給与を含みます。)の支払がある個人は、たとえその給与等について納付すべき税額がない場合であっても、源泉徴収の対象となる報酬・料金等を支払う際に、所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

源泉徴収の実務手続き|納付期限・納付書の種類・納期の特例

源泉徴収した所得税の納付期限

源泉徴収で差し引いた所得税は、原則として報酬を支払った月の翌月10日までに税務署へ納めなければなりません。

 

例えば、7月にフリーランスへ報酬を支払った場合、その源泉所得税は8月10日までに納付が必要です。

【注意点あり】『納期の特例』で事務負担を軽減

従業員が常時10人未満の会社や個人事業主は、納期の特例という制度を利用できます。

 

これは、毎月納付する代わりに、年2回にまとめて納付できる仕組みです。

  • 上半期(1月〜6月分): 7月10日までに納付
  • 下半期(7月〜12月分):翌年1月20日までに納付
注意!
「納期の特例」の対象となるのは、給与・退職手当・税理士などの専門家報酬に限られ、外交員などの報酬は特例の対象外となるため、ご注意ください。

納付書の種類に注意

源泉所得税を納付する際には、使用する納付書の種類を間違えないことが重要です。

報酬の種類 使用する納付書
給与、退職手当、税理士などの報酬 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)

報酬・料金等(税理士などの報酬を除く。 報酬・料金等の所得税徴収高計算書

納税が遅れるとペナルティが課せられる

納付期限までに納付がない場合には、源泉徴収義務者は延滞税や不納付加算税などを負担しなければなりません(通則法67、68)

 

源泉徴収すべきか迷う場合は、税理士などの専門家に相談することが重要です。

報酬・料金等に対する源泉徴収の実務ポイント

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源泉徴収の対象となる報酬一覧

給与以外にも、以下のような報酬・料金は源泉徴収の対象となります。

  • 原稿料や講演料など
  • 弁護士、公認会計士などの特定の資格を持つ人などに支払う報酬
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

内国法人に対して支払う報酬の源泉徴収

支払先が法人の場合、原則として報酬に源泉徴収は不要です。

例外は、法人が馬主の場合に支払う競馬の賞金で、このケースのみ源泉徴収が必要となります。

源泉徴収に関するその他の注意点

旅費や宿泊費を含めた場合の取り扱い

報酬を支払う際に、業務に必要な旅費・宿泊費などをまとめて支払うケースがあります。
この場合、原則として報酬と一緒に源泉徴収の対象となります。

ただし、支払者がホテルや交通機関に直接支払った費用や、通常必要な範囲の費用であることが明確な場合には、源泉徴収の対象から外すことができます。

消費税の取り扱い|税込か税抜か

報酬・料金等の額の中に消費税が含まれている場合は、原則として税込金額が源泉徴収の対象となります。

 

ただし、請求書で報酬部分と消費税部分が明確に区分されている場合は、報酬部分のみを対象として差し支えありません。

源泉徴収の対象と対象外が混在する業務例|作家・デザイナー・通訳

article一部の業務は、源泉徴収が必要なケースと不要なケースが混在しています。

 

たとえばフリーランスによくある業務を整理すると以下の通りです。

作家の場合

源泉徴収が必要な報酬等に該当するもの
  • 原稿料
  • 演劇、演芸の台本の報酬
  • ロ述の報酬
  • 映画のシノブス(筋書)料
  • 文、詩、歌、標語等の懸賞の入賞金
  • 書籍等の編さん料又は監修料
報酬等に類似するが該当しないもの
  • 懸賞応募作品の選稿料又は審査料
  • 試験問題の出題料又は各種答案の採点料
  • クイズ等の問題又は解答の投書に対する賞金等(一部を除く。)
  • 直木賞、芥川賞、野間賞、菊池賞等としての賞金品
  • ラジオ、テレビジョンその他のモニター に対する報酬
  • 鑑定料(一部を除く。)

(Web)デザイナーの場合

源泉徴収が必要な報酬等に該当するもの
  • グラフィック、パッケージ、広告、インテリアなどのデザイン報酬
  • 映画関係の原画料、線画料又はタイトル料
  • テレピジョン放送のパターン製作料
  • 標章の懸賞の入賞金
報酬等に類似するが該当しないもの
  • 織物業者が支払う意匠料や紋切料など、図案を基にした原版作成のための下画料
  • 看板書きや氏名書き
  • デザインと施工を一括で請け負い、デザイン報酬が極めて少額の場合
  • コーディングやシステム開発などプログラミング業務

通訳の場合

源泉徴収が必要な報酬等に該当するもの
  • 通訳
報酬等に類似するが該当しないもの
  • 手話通訳

専門家へ相談する重要性

実務では「対象かどうか判断に迷う」ケースが少なくありません。

誤って源泉徴収を怠ると、不納付加算税や延滞税といったペナルティを受けるリスクがあります。

 

迷った場合は、税理士などの専門家に早めに確認することがリスク回避につながります。

源泉徴収に関するよくある質問

よくある相談

個人事業主に支払う報酬も源泉徴収は必要ですか?

はい。個人事業主(フリーランス)への報酬であっても、法律で定められた範囲の業務に該当する場合は源泉徴収が必要です。

 

たとえばライターやデザイナーへの報酬は対象となる一方で、プログラミング業務は対象外となります。

 

仕事の内容に応じて判断してください。

クラウドソーシング(クラウドワークスなど)では、源泉徴収してもらったほうがいいのでしょうか?

クラウドソーシングを通じた業務委託も、報酬の性質によっては源泉徴収が必要です。

 

ただし、支払者が「給与を支払っていない個人」の場合には、原則として源泉徴収の義務はありません。

 

法人や給与支払いのある個人事業主が発注者であれば、通常の報酬支払いと同様に源泉徴収が必要になります。

青色専従者以外の給与はありませんが、税理士報酬の源泉徴収は必要ですか?

個人事業主が青色専従者を含む従業員に給与を支払っている場合は、実際に徴収して納付する税額がない場合でも、税理士報酬について源泉徴収が必要です。(所法204①二、②二、所基通204-5)

まとめ|フリーランス・経理担当が押さえるべき源泉徴収のポイント

源泉徴収は給与だけでなく、特定の報酬や料金にも課される重要な制度です。

まとめ
  • 源泉徴収は、給与だけでなく 原稿料・講演料・士業報酬・芸能報酬など幅広い業務が対象
  • 源泉徴収を怠ると 不納付加算税・延滞税などのリスク が発生
  • フリーランスは差し引かれた税金を確定申告で精算する必要がある

 

判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することが最も確実な解決策です。

 

本記事を参考に、源泉徴収の対象となる報酬を正しく理解し、フリーランス・企業の双方にとって安心できる取引につなげてください!

 

石田 航平(税理士/経営心理士)

石田航平税理士事務所/イナステラ総合会計事務所 代表
元国税専門官。Big4税理士法人を経て、現在は、売上改善・創業支援に強みを持つ税務会計の専門家として、数多くのフリーランス・企業の経営支援に従事している。

 

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